イスラム社会の中のマイノリティ:イランのシナゴーグ訪問2

扉は普通、でも中身は全く違う風景

色々な事情から、ひっそりと信仰を続け生活の拠点を構える人々。しかし、その中心となるシナゴーグは町の中心からも比較的近いところにありました。普段でも通りそうな道の一角に全くわからない様子で建っており、また外から見ても全くシナゴーグがあるとは確認できません。アルメニア教会では、堂々と十字架が外から見える位置に置かれていますが、このシナゴーグには五芒星は外から見える位置には配置されていませんでした。
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ドアからは、かなりの人が出入りしている様子でした。普通の家の入り口だとしたら出入りしないような、色々な種類の人が出入りしていることから、周囲には何かの施設だということは知れていそうです。

中に潜入

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木曜日の午前中に尋ねるのがいいということで、その時間に行きました。入る時には厳重にパスポートをチェックされる。施設に入る時にパスポートをチェックされることはイランでは初めてだったので少し驚きました。

僕たちが入った時には、10人未満の人々がいて、中では子供達が一人教育役の女性を囲みながらヘブライ語聖書の読み方の練習をしました。

自分はヘブライ語はからっきしなのでよくわからないですが、ページ数からして最初の方を子供達が音読してくれました。

普通のイラン人のようにとても人懐っこいというわけではないですが、中の人たちは突然の外国人の来訪にも驚いた様子はなく、「どっから来たの〜」と尋ねて来ました。

留学生の友達に礼拝の時間の写真を見せてもらいましたが、二階には女性、一階には男性がというように男女別れて礼拝をするようです。

イスラム教の国でユダヤ教を信じることとは

IMG 20171026 111543シナゴーグの中に入ると、堂々とユダヤ教のシンボルが。

話を聞くところによると、このシナゴーグは大体250人くらいの信者を抱えているそうです。シナゴーグ自体は、結構大きくて、250人くらいは収容できそうですが、宗教施設とはいえ、建物を建てるお金を250人という小さい共同体で支えるのは難しいだろうという感じでした。前の記事でも述べましたが、入場料でも収入を得ているアルメニア教会に比べて質素な印象でした。

ペルシア語を話すユダヤ教とということで、聖職者?の人に話を聞きました。出自について訪ねたのですが、ほとんどの人がイラン生まれだそうです。お父さんやお母さんがイスラエルに関連しているのかときいたら、「先祖の先祖はイスラエル生まれだぞぅ」みたいなことを言われて誤魔化されました。細かい背景はわからないのですが、歴史において移住してくるようになった人々なのではないでしょうか。

シナゴーグの敷地内部では、リラックスする人々が。一応プライベートスペースですが、女性はスカーフを身につけていました。子供と女性が多い印象で、みんなペルシア語を話す人々でした。

シナゴーグにいる子供に聞いたら、彼は毎日このシナゴーグに通って教育を受けており、おそらく普通の学校には通っていない様子です。信教の自由は保障されていても、教育はイスラム教寄りなので、通わせないということでしょうか。広い街ですが、この250人という小さなコミュニティの中でつつましく暮らしているという印象を受けました。

やはり扉から一歩外へ出たらイスラム教の国だった

見学を終え、お昼近くになっていた頃、一歩外に出たら、お昼の礼拝を知らせるアザーンが通りに鳴り響き一歩外はまた違った様子を呈していました。普段のイランからしたら、シナゴーグの中身は静かで穏やか。

ただ、彼らの表情、対応を見ていると扉の厚みというのを少し感じました。

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