学生とは

「学生」に必要なものとはなんでしょうか？
「本」と「鉛筆」と答えるかもしれませんが、僕ならば必ず机を付け足します。

なんでかわからないけれども、この寮には勉強する大学生向けのはずなのに、勉強用の机がありませんでした。

さあ机がありませんで、どうしようというところです。選択肢は勉強しないか、カーペットで勉強するというぐらいしかありませんでした…
カーペットで勉強するという選択肢に甘んじていたものの、やはりやる気のない時には床に向かって？勉強するときになれず。というか床に距離が近いと絨毯の上で寝てしまうんですよね。意志の強さとか関係なしにこれは重力の問題な訳です。

そんなこんなで、学生であるけれども、学生でないという状態でした。

机が欲しかったら大工に行け!

机がない机がないなんて騒いでいたら、ルームメイトが探して来てくれました。
机ではなく、机を手に入れる方法を。

その人曰く、家具屋で机を買うのではなく大工で机を一から作ってもらう方が安くつくそうです。

イランに学習机とかいう概念はないのでしょうか？確かに家具屋でみるものはかなり、重厚なそれだけでも価値がありそうなやつで、それも高いものでした。床での生活が基本なイラン家庭には調度品としての机の需要があまりないのでしょうか？

大工に連れて行かれて、机について相談するも、言語の問題とやり取りの問題で一回では済まず…まずは採寸してこいとか言われて、メジャーを持たされて家に帰りました。

そして数日後再度訪れて具体的な寸法と大きさを説明。ここまでで数日間の手間と二、三回は足を運んでいます。そこで出来上がったのがこの設計図

出来上がりが不安しかないのですが、こんな設計図でしっかり仕上がっていました。

ものすごく時間がかかりましたが…
最初は日数でカウントして10日で出来上がるとか言っていたので、イラン暦20日に来いと言われました。

「え、そんなに早く出来上がるの？」という淡い期待を抱きながら、事前に「仕事遅いからなんども言って催促するといいよ」なんてことを言われていたので、ここから通う日々が始まります。

一週間に一回は足を運んで、「元気？」という挨拶から、今どの状況という感じで。そこで自分はちゃんとやっているとかなりたかをくくっていたのかもしれません。

約束されたに20日に僕が見たものは、机の一部の足だけでした。「できてないじゃん！」というと、なんだかんだ仕事があったんだと。「明日来い」と言われて、また翌日行くことにしました。

当たり前ですが、寝ている間に小さい小人たちが出て来て、仕事を仕上げてくれるなんてことはなく、翌日行っても全く進展がないまま。ここまで来て信じる僕もバカだと思いますが、やはり「来週」とか「明日」とか言われて、4日間で2回は行きました。

電話攻撃も毎日仕掛けました。それでも、店に行った時には、こんな状態で

「ここまでできぞ！」「丈夫だろ、すごいだろ」

なんて言われたけれども、「いや、とにかく早く欲しいんですけど、休日に勉強用に机欲しいんですけれど,,,」なんて思いながら早くしてくれと…

さらに、大体いつも行くと、先客がいて、その客とともに絡まれる。10分くらいで済む催促が30分とか一時間とか話して、買い物が長引いていく…

「明日」と言われて翌日またはよく翌日に行くという作業が何回か続き…
ここは中東だからそういう時間の進み方だよ、みたいなことを友達から言われて「ははぁ僕が未熟なのか」なんておもいながら、ついにやって来ました、完成の日！

翌日の午後三時にきてと、約束を取り付けたら、机の天板が取り付けられていない！でも今日の夜来てくれれば仕事終わりにあなたの家によって届けてあげるよ、と言われたので、夜また来ることに。

夜にまた戻ると、完成した机と誇らしげな顔が。
一ヶ月経ったよ,,,と泣きたくなりました。
ここで、運ぶ方法が問題。彼の車はトラックではなく、普通の車です。

トランクに入るわけでもなく、後部座席に入るわけでもなく果たしてどうやって、運ぶのか。

答えはこれです。

屋根の上に乗っけて終わり。

運転中は片手で窓から手を出して屋根にあるのを支える。

幸いにも途中で落ちることはありませんでした。よかった。

部屋に帰って取り付けるとこんな感じ。

値段は、8000円前後で、最初から作ってもらったことを考えれば安いかもしれませんが、一ヶ月考えたら高いかな。
日本だったらIKEAで安売りの4,000円くらいの机を買って、即日組み立てできるもん。

これからこの机をどうやってペイントしようか考え中です。