イランで起こるヒジャブに対しての抗議:女性革命通り運動

年末には物価高に抗議するためにマシュハドで発生したデモを発端として、イラン全土に抗議活動が拡大しニュースを騒がせました。

およそ一ヶ月が経ち、すっかりそのデモも沈静化したのですが、新たな運動が発生しているようです。
イギリスのThe GuardianのTehran hijab protest: Iranian police arrest 29 womenという記事によると、イランの首都テヘランでは政府によるヒジャブ着用強制に対する反対運動として、女性が自分のヒジャブをとって街頭でアピールする活動が展開され、これまでに29人が逮捕されてたそうです。
https://twitter.com/GEsfandiari/status/958329025415565312  

活動家のツイート

運動は、「女性ストリート革命」と名付けられてTwitterやInstagramで拡散されています。自分がルーサリーを取りアピールしている様子を写真に撮って拡散されています。イランではTwitterは政府にブロックされているので、わざわざ検閲をかいくぐって海外にアピールしようとするイラン人は自由志向の政治思想の人が多いです。しかし、それに比べてInstagramではタグづけされてはいるのですが、ものすごく多くの数が投稿されている、というようではありませんでした


Instagramの投稿

個人的には今回の動きはあまり大きな動きだとは思わないのですが、こういった自由志向の運動は欧米系メディアは積極的に取り上げる方向のようです。イラン国内メディアはもちろんこの件についてあまり触れていません。しかし今回に関しThe Guardianによると

イランの改革系メディアであるシャルグはこの件について厳しい検閲ながらも規制当局より許可を得て記事を書いた

と報じています。BBCなどの海外メディアはTelegramなどのメディアを通じてペルシア語で報じています。

イラン女性とヒジャブ

イランはその国内において、女性に対して髪の毛を隠すことを強いている国の一つです。他にもこういった法律がある国はいくつかありますが、特にイランにおいては多様な民族、宗教を抱えるということもあり、しばしば議論の対象になっています。例えば、僕は比較的保守的な都市に住んでいるので、街で見る女性は大学近くだと全身黒い服装で、ヒジャブももちろん黒色という感じですが、キリスト教徒が住む地区に行くと華やかなヒジャブをした女性の割合がかなり多くなります。こういった服装でも個人の宗教観や政治観を表象していることがわかります。

特に、政府機関で働く女性や、大学、学校に勤務または通学する女性はマグナエという真っ黒の布でできていて、顔だけがでる被り物をします。イメージ的には千と千尋の神隠しに出てくるカオナシのようでしょうか。余談ですが、服を隠すことによって顔が重視されるので、メイクも濃くなる傾向にあります…

他にも女性が髪の毛を隠すために使う衣類は種類があります。例えば全身を覆うようにかぶる*チャドルchādorや、頭の上のものを意味するルーサリーがあります。ルーサリーは手ぬぐいの大きいバージョンのようなもので長方形の布でできています。ルーサリーはペルシア語由来ですが、ヒジャブという言い方をされる場合もあります。ヒジャブはもともと「隠すもの」という意味を持ったもので、衣類を指す言葉としてはかなり広い意味があります。イランでは、人にもよりますが、アラビア語を使いたがらないので、ヒジャブという言葉はあまり聞かず、ルーサリーという言葉が定着しています。

*イランでは主に異教徒でも聖者廟を訪れる時などにかぶることがあると思います。一枚になった布でできています。

今回の運動について

体制側と女性側の応酬

記事によるとイラン政府側の検事はこの運動について、「幼稚」「感情的な行い」「外国に扇動されている」などの発言をしています。

一方運動側のInstagramを見ているとこの活動に賛同する男性も街頭に立った写真を投稿していたりしていました。また、前述のヒジャブを被ることに抵抗する運動なのにチャドルを被ったまま、この運動に賛同する投稿している女性もいました。その女性の意味するところでは、「チャドルは自分の意思で被っているが、政府が個人にヒジャブを強制することは宗教的にも不当である。」と主張しています。

次第に広まる自由な言論空間

もちろん他の国に比べたら厳しい検閲が存在しますが、先月のデモなど一連のできごとを見ていて、反政府的な活動も報じられたりと、規制当局が開放路線に変化して来ているのではないのかと思います。もちろん29人が逮捕されたと報じられている通り、まだ厳しい状況ですが、インターネットの発達による意見の共有(主にTelegraとInstagram)によって、政府の手の届かないところでの活動が容易になって来ています。今後も注視すべきですが、確実に変化の兆しがあると思います。

-2月5日追記-
The Newyork Times の記事、Compulsory Veils? Half of Iranians Say ‘No’ to Pillar of Revolutionによると、男女両方を含めたアンケートでは49.8%のイラン人が、ヒジャブについて個人的な問題であって、政府側は強制すべきでないと考えているようです。しかしこの調査自体、ほぼ3年前の2014年に行われたものであり、政府がこのタイミングで公開して来たのは異様と言えます。

大統領側は改革側に対応する用意を示す目的があるのでしょうか?

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