海賊版天国:書籍編

著作権法がないイランでは、ソフトウェアもDVDも海賊版天国。正規版かと思ったら、ぺらぺらの紙ジャケットに映画が入っているだけの商品を30円とかで売っていたりしてびっくりします。

「海賊版」と言えば、映画のDVDとか、ゲームソフトウェアを思い浮かべますが、ここイランでは、書籍の海賊版もかなり流行しています。また、本自体のコピーも安く簡単にすることができます。

そもそも書籍が安い

イランにきて初めて本屋さんに行って書籍の安さに驚かされました。もちろん物価が日本に比べて安いこと(例えばファストフードでサンドウィッチ一つは150円ほどで買える)もありますが、人件費が安いのでしょう。

それにあたって、平均収入も低いのですが、書籍は別に贅沢品ではないようです。公共バスでも、公園でも本を読んでいる人の姿はよく見かけます。

例えば、海外小説の翻訳を光文社古典新訳文庫で1000円する本がイランでは、300円ほどで手に入れることができます。後書き、訳注や解説といったものは大体付属していないのですが、大体の書籍が500円以下です。一食150円で済ませられてしまうのを考えたら確かに手軽に手に入るものではないのではないのですが、辞書や教科書類もかなり手頃な価格なので、困ることはありません。

海外小説の翻訳が盛ん

書店に行ったところ、洋書はそれほど置いていないですが、海外小説の翻訳はかなり盛んなようでした。三島由紀夫から川端康成まで、ペルシア語訳での書籍がかなり置いてあります。文学的なペルシア語はその筋を勉強していない人にとっては、読むのが難しいみたいですが、アラブ諸国に行った時と比較しても、翻訳版の種類と書店の数が多い傾向があると思います。

例えば、サン=テグジュペリの『星の王子様』でも、翻訳版が3つ出ており、店員さんに聞いたらおすすめの訳を教えてくれました。(全部比較したのかは不明)

書籍の海賊版

本の海賊版もたまに路上で売っているのを見ることができます。買ったことはないですが、本屋で売っているきちんと製本したものではなく、リングで留めてあるもので、正規品よりもかなり低価格で抑えられているようです。本自体が安いので、海賊版の必要性はあまり感じませんが…

本のコピー

持ち込んできた本の全部コピーもとても安いです。著作権法がある国では、一部または全部の複製はできませんが、ここイランでは、一冊丸ごと、コピーして製本してくれるサービスがあります。特に洋書は高いみたいで、学生はこのサービスを利用していることが多いみたいです。

彼らがどうやって一冊丸々コピーしているのかはわかりませんが、普通のコピー用紙に印刷されて、ルーズリーフのように、リングで留まって帰ってきます。料金は長さにもよりますが、大体普通の学術書一冊で、450円くらいです。

洋書の学術書でも専門的になると一冊買うのに、4000円とか普通にかかるので、図書館で借りてから、コピー屋に頼む人がいるみたいです。

本のコピーだけでなく、自分が書いた博士論文を何部かこうやって刷ってもらっている人もいました。

世界で一番本を読む国の人々はインドの人らしいですが、こうやって、バスの中や公共空間で本を読んでいる人をよく見ると、この国の文化の基盤というのを感じます。

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