イラン聖地コムに行ってきた

イラン保守派の牙城(これは僕が勝手にそう呼んでるだけです)シーア派の聖地の一つであるコム(Qom:قم)に金曜日の休みを利用して行ってきました。

大雑把に言えば、コムにはシーア派のアズハルのような宗教学校が密集しているのと、イマームレザーの姉妹であるファーティメの廟があります。

ファーティマ廟

イランの各都市には歴史の関係もあり、大抵聖者廟があります。このファーティメ廟もその一つです。このファーティメは12イマーム派のイマームであるイマームレザーの兄弟であります。詳しいことは省きますが、イランでもかなり尊敬される対象の一人です。
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これはファーティメ廟に隣接した広場です。
コムは宗教学校が集まったかなり保守的な都市とあり、その日は集団礼拝がある金曜日だったので、多くの人で賑わっていました。続きを読む →

イランで起こるヒジャブに対しての抗議:女性革命通り運動

年末には物価高に抗議するためにマシュハドで発生したデモを発端として、イラン全土に抗議活動が拡大しニュースを騒がせました。

およそ一ヶ月が経ち、すっかりそのデモも沈静化したのですが、新たな運動が発生しているようです。
イギリスのThe GuardianのTehran hijab protest: Iranian police arrest 29 womenという記事によると、イランの首都テヘランでは政府によるヒジャブ着用強制に対する反対運動として、女性が自分のヒジャブをとって街頭でアピールする活動が展開され、これまでに29人が逮捕されてたそうです。
https://twitter.com/GEsfandiari/status/958329025415565312  

活動家のツイート

運動は、「女性ストリート革命」と名付けられてTwitterやInstagramで拡散されています。自分がルーサリーを取りアピールしている様子を写真に撮って拡散されています。イランではTwitterは政府にブロックされているので、わざわざ検閲をかいくぐって海外にアピールしようとするイラン人は自由志向の政治思想の人が多いです。しかし、それに比べてInstagramではタグづけされてはいるのですが、ものすごく多くの数が投稿されている、というようではありませんでした


Instagramの投稿

個人的には今回の動きはあまり大きな動きだとは思わないのですが、こういった自由志向の運動は欧米系メディアは積極的に取り上げる方向のようです。イラン国内メディアはもちろんこの件についてあまり触れていません。しかし今回に関しThe Guardianによると

イランの改革系メディアであるシャルグはこの件について厳しい検閲ながらも規制当局より許可を得て記事を書いた

と報じています。BBCなどの海外メディアはTelegramなどのメディアを通じてペルシア語で報じています。

イラン女性とヒジャブ

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イランに来たら本屋でオススメしたい一つのこと

イランにはイスラムとペルシアの文化が融合した特有の文化があります。
旅行でイランを訪れる人にもオススメしたいのが、このコロリアージュです。

コロリアージュは大人のための塗り絵と言われ、近年家でできる趣味として流行り始めています。色鉛筆を一通り揃えるだけで始めることのできる趣味です。

あらかじめ線で作られた絵を塗っていく塗り絵ですが、絵が成功に書かれており、どこにどの色を塗るのか頭を使います。集中力を要するために、ストレス解消にも良いとされています。

日本でコロリアージュの本を買おうとすると大体2000円から3000円したりしますが、イランの本屋ではもっと安く買うことができます。
ほとんどの題材はイスラム的な幾何学模様です。
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僕がこの本を買った時は大体5万リアル(150円)でした
試しに色を塗ってみるとこんな感じです。続きを読む →

イスラーム圏で泳ぐ

イスラーム圏というイメージだと何事も戒律で厳しいイメージでしょうか。
意外にもイスラーム共和制を敷くイランでも運動は奨励されていて、街にはサッカーの為のスタジアムが結構あります。
今回はその中の一つである、公共のプールで泳いできました。

おかしい営業時間

まず、イスラーム的に男女が肌を見せ合う格好で接触するのは戒律的に好ましくないので、プールは男女別々です。場所が分かれているというわけではなく、完全な入れ替え制で毎日女性の時間と男性の時間と分かれています。

一般的にイランの娯楽施設は夜遅くまでやっています。昼寝をする習慣もあって、夜が遅いためです。
今回僕が行ったプールは女性は十一時半から二時まで、男性は九時半から十二時まででした。一見すると普通ですが、実は男性の時間は夜の九時半から十二時までです。

流石にこんな時間だと、人が少ないんではないのかと思いがちですが、そんなことありません。スイミングスクール?もこの時間から始まって、中学生くらいの子供も、真夜中の12時まで泳いでいました。

僕も当日は9時20分ごろ到着し、人だかりが来ているところでチケットを購入。16万リアル(約480円)でした。イランの価格帯としては運動施設は物価的に高いと言わざるを得ません。バスが一回1万リアルで乗れるのに対してこれはかなり高い値段です。

いざ、プールへ

お金を払って、チケットを購入し、靴を預けたら更衣室で着替えます。イスラーム教では同性であっても、臀部を見せ合うのは好ましくないので、荷物置きの横に着替えペースがあります。着替えスペースでは、胸のあたりから、膝のところまでが隠れるようになっており、プライバシーを確保することができます。さっさと着替えを済ませたらようやくプールが待っています。

だだっぴろいプールに男だけ

初めてプールを見たときの感想は「お、意外にでかいな」でした。それもそのはず幅が25m長さが80m?の日本でも競技場ぐらいでしか見たことのないようなサイズのプールでした。土地が安いイランならではなのかもしれませんが、感覚がイランになっていたので、あまり違和感はありませんでした。

それよりも、もっと違和感があったのが、プールに入っているのがマッチョな男ばっかりだったこと。体毛が濃くてヒゲも蓄えている人が多いイランでは、プールで泳いでいる人も体毛が濃い人が多いです。そのせいか、「青い水にやたら黒いものがあるなぁ」という感想でした。日本の温泉だと思えば男性だけの空間というのは理解できないでもありません。ちなみに一緒に同行したイラン人に、日本では大学のプールの授業でさえ男女混合だといったら、びっくりしていました。続きを読む →

ガタガタイラン経済

年末年始を騒がせたイランのデモも収束し、一応?平穏な毎日のイランからです。
ただ、主要なデモ集合場所になった場所は監視が増やされ、溜まっていると解散を促されます。

今回は前のデモの主原因とされる経済問題について、生活者の視点から見て見たいと思います。なお、経済に関しては、大学の経済の授業を初回の授業だけで「ああ、これダメだ」と思ったくらいには素人ではあるので何かとご容赦ください。

価格上昇と為替

価格の下落や高騰が何かと話題な仮想通貨に引けを取らないくらい、イランの法定通貨リアルも変化していると感じます。続きを読む →

6日間に渡ったイランでのデモ、革命防衛隊が終結宣言

 

CNNの記事、Iran’s Revolutionary Guards claim protests over

によると、革命防衛隊がイランにおける一連の反政府デモ活動の終結を宣言しました。記事によれば、15,000人にも及ぶ人がデモ活動に参加し、また主犯格の人間は逮捕されたとしています。
また、イラン学生通信(ISNA)の記事فرمانده کل سپاه : شکست خط فتنه ۹۶ را اعلام می کنمにも、終結宣言が掲載されています。

CNNによれば、イランで続く通信制限は金曜日にも解除される見通しです。ただ、金曜日には、金曜日礼拝で人々が集まる機会があり、タイミングが重なれば、再度反政府集会が呼びかけられる可能性があります。

僕が今日街を見た様子では、街角に警官は多くいるものの、デモ自体は起こっていないような雰囲気でした。もっとも激しくなる時間帯にその場所には行けていませんが、街の人曰く今日は何もなかったとのことです。

とはいえ油断は禁物、金曜日の礼拝後の終結への呼びかけに注意し、気をつけたいところです。

デモ三日目のイラン

予告通りデモは開催インターネットは全面規制へ

二日目と同じく事前にテレグラムで集会の場所と時間が出回り、デモ活動の起点が明らかな状況になっています。

昨日の通信相の発言通り、デモが始まる午後4時ごろに携帯電話のTelegramとInstagramに接続することができなくなりました。また、その後携帯自体が規制されて、インターネットは全面禁止という状況になりました。

テレビ新聞は何も報じない

あれだけ話題になった一連のデモのはずなのに新聞では官製の政府支持でもがあったとの記事しか載っておらず、昨日イラン西部で二人が犠牲になったことも全く報じられていません。

ニュースは口伝えで伝わるしかないという状況で、かなり異様な状態です。

今夜ロウハニー大統領がテレビで声明を発表する予定のはずなので、彼の言動に注目が集まります。

イランの物価高から始まるデモについて

聖都市マシュハドから始まったでもがイラン全土に波及

12月28日木曜日、物価高について抗議するために、デモがイラン第二の都市かつ聖地であるマシュハドで発生しました。「大統領に死を」 イラン各地、禁令破り反政府デモ最初は物価高を理由にデモをしていたらしいのですが、そもそもでも自体禁止されているイランで大きなデモが起こるのもかなり異様な展開です。

また、物価高を理由にしているのにもかかわらず、なぜか「大統領に死を」など政治指導者に反発するスローガンが掲げられています。ことが大きくなったのがデモが発生したマシュハド以外の地域でも翌日以降にデモが波及し、イランの各都市で発生したことです。

イラン各都市に波及したデモの行方は

金曜日は祝日であり、礼拝の日でもあるので、人々が集まってデモが発生するのは不思議ではないのですが、その後も呼びかけは続けられ、平日である土曜日でさえ夕方デモが各都市で呼びかけられました。
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諸事情により画像は掲載することはできませんが、本当にイランの小さな都市、日本でいったら各都道府県の都市の規模でもデモが呼びかけられていて、時間と場所が記された画像が流布されていました。もっとも、Twitterで拡散されたのではなく、きっとTelegramで知り合い同士で拡散されたのだと思います。
翌日の新聞に書かれていてもおかしくないような情報ですが、新聞でもデモに関しての記事を見かけることはなく、ほとんどの場合口づてに情報を聞いていたようです。

イスファハンの場合

イスファハンでは今日12月30日(イラン暦10月9日)に反体制集会に集まる呼びかけがなされていました。

午後になると情報を得た警察による尋常ではない交通規制により、街を南北にわたる道路や橋が大渋滞で、バスも利用することができないので、歩いて中心部に向かいました。

結果、中心部に行くのは危険だということで全く近づけなかったのですが、中心となった広場では、催涙ガスが使われていてまたデモ隊と警察の衝突も起きていました。イラン人には「外国人は近づくとスパイだと難癖つけられて逮捕されるからよせ」と言われたので近づきはしませんでした。

しかしながらしばらくたつと、流れが変わって、人が自分の方になだれ込んで来ました。警察がデモ自体を畳み掛けにきたのか挟み撃ちにしようとして、東側と西側から大量の機動隊が近づいて来ました。彼らは全身を覆っていて、バイクに乗った二人組が警棒を振り回して、人々を鎮圧していました。

干上がった川に逃れて、なんとか凌ぎましたが、警察隊は群衆はもちろん、放置されたバイクなども叩き怖さしていて、半ば暴徒のような感じです。もちろん民衆側も石を投げ込んでいたりしましたが。暴徒鎮圧用の爆竹が鳴らされて危険だと思ったので、南側の地区に逃れました。

格好からは外国人とはわからないのですが、一つ危険を感じたのが「アフガニスンタン人が動画を撮ってるぞ」と言いふらされたときです。日本人はたまにアフガニスタンの中央アジア系の顔に見られるらしいですが、イランではアフガニスタン人の地位が低いのでこのままだと色々問題がありました。

安全な地区に逃れたらまたデモがやって来た

全ての地区がデモ活動をしているわけではないので、南側の地区ではひどい交通渋滞を除けば、普通の状態でした。なので、一緒に行ったイラン人の友達と状況について話していると、いつのまにかデモ隊がやって来てしまいました。
彼曰く、郡中は最初「独裁者に死を」と叫び回っていましたが、やがて、政府支持のシュプレヒコールに変わっていったそうです。

今日12月30日は2009年の大統領選にちなんで、政府支持の官製デモが予定されていたようですが、それではなく、政府支持の人々らしかったです。一瞬衝突するのかなと思いきや、郡中はぐちゃぐちゃになってなんだかわからないような展開になって終わりました。

今後のイラン

僕が街で見た限り、一部しか見ていないですが、このデモがイランの多くの都市で同時に起きているのだとすると、かなりの影響が政治にありそうです。イランの通信相は今回のデモの一旦を担ぐことになったTelegramに対して規制が必要といっており、検閲の状況が変わることもあります。また、最近若干ですが政治的状況によって、通信速度が制限されているのを感じます。

正直、今回の一連のデモは何かを打倒することを目的にしているわけでもなく、また政治的に政策を変えさせることを具体的に要求しているわけでもないので、かなり不思議な展開です。なぜ今という質問が最初に来てします。

イランのSNSインターネット事情

イランのインターネット事情は他国と全く異なる

イランのインターネット事情(特にSNS界隈)は全く異なります。前にも述べた通り、イランでは中国と同じようなインターネットに検閲があるので、Youtube, Facebook, Twitter また、ポルノサイトや、軍事的要素に関わるサイトがブロックされています。

また、検閲に加えて、インターネット環境もよくありません。政府が検閲を加えているせいか、インターネットに速度制限を加えていて、日本と比べてもかなり速度は上がりません。携帯電話は普及しており、4Gのサービスもありますが、速度はイマイチといったところです。

また、インターネットの料金が高いことも、イランのインターネット環境の異質なところです。日本と違い、インターネットを使用するには通信する量だけのパックを買うことになるのですが、例えば、2ヶ月30GBまでのプランだと70万リアル(2100円前後)となり、見たところはそんなに高い印象を受けませんが、イランの物価を考えるとかなり高いものです。

*物価はジャガイモは1kgあたり3万リアル(90円)、バスは一回あたり1万リアル(30円)といった具合です。また、交通も飛行機などは例えば、イスファハンからマシュハドまで(約1000km)の期間が80万リアル(2400円)ほどです。物価は安いけれども平均収入もそれほど高くないイランでは、無制限のインターネットは贅沢品です。

イランはInstagramとTelegram帝国

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留学三ヶ月目で気づいたこと

語学力ゼロから開始したらこうなる

前にも述べた通り、ペルシア語ゼロの状態からイラン滞在を開始してから、約三ヶ月が経ちました。この三ヶ月で特段必死に勉強したという印象はありませんが、日常会話くらいはできるようになりました。

前提として、アラビア語を学習していたので、アラビア文字には慣れ親しんでいること、また英語で説明されれば意味はわかるという状態から開始しました。

ただ、ペルシア語はほとんどまっさらな状態。挨拶と本当に少しの単語ぐらいしか知らないという状況でした。

街で会話をしたり、友達と練習したり、授業外の時間も使って練習すれば、三ヶ月でもそれなりに理解できるようになりました。それなりにというのは、本当に日常会話のレベルで、専門用語の知識がないので例えば時事の話題などに関しては、単語単語で意味はわかるが、文章全体での主張がわからないとか、また自分で作文できないというような状態です。

三カ月でも現れる、言語習得上の国民性の違い?

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